夏休み。

僕はうーちゃんから水泳の特訓を受けることになった。

まずは基礎体力 ということで、走ったり筋トレしたり。

市民プールで実践練習したり。

うーちゃんは、なぜかとても熱心に教えてくれた。

私もどんどん上達し、ちょっとだけクロールができるようになった。

「たっちんのバタ足はすごいから、バタ足をいかしつつ、上半身もうまく使って。 息継ぎをマスターしたら 絶対に25m泳げるようになるよ!」

8月31日 夏休み最後の日の夕方。

僕とうーちゃんは学校に忍びこみ プールの中にいた。

「いよいよ最後の練習だね。 本番だと思って 泳いでみよう! たっちん 準備はいいかい?」

高鳴る鼓動。

「位置について」

ザブーン。

「用意」

アゴを引いて 両耳の後ろに腕をつけ、手のひらを頭上でピンと重ねて 天高く。

片足を曲げてプールの壁につける。

「スタート!」

目をギュッとつぶり、勢いよく壁を蹴ってスタート!

ちょっと上達したクロールで攻める!

前半は力強いバタ足で力強く前進です!

必死の息継ぎもクリア!

20mを経過! 疲労困憊!

「頑張れ!たっちん!」

うーちゃんの応援が聞こえる。

最後は必死の犬かき!

なんとか25m 泳ぎきりました!

壁にタッチして、顔をあげると 夕日をバックにうーちゃんの満面の笑顔。

「やった! これで本番の9月の測定会も大丈夫だね!」

うーちゃんは、まるで自分のことのように喜んでくれました。

そして、

夕暮れの帰り道で、うーちゃんは不思議な話をはじめた。