激しい雨の音で目が覚めた。
どうやら知らぬ間に寝てしまっていたようだ。
6時30分。
明け方の6時30分か、夕刻の6時30分か、
起きたての脳みそでは判断がつかない。
僕はゆっくり起き上がり、窓に近づいて
カーテンを開けた。
どうやら夕刻の6時30分のようだ。
しばらく降りしきる雨を眺めていると 稲光が光った。
そしてすぐに大きな雷鳴が響く。
近い。
そういえば、昔、雷が鳴ると怯えて泣き出す女の子がいたっけ。
いたって本気の14歳。
彼女の足取りが早くなる。
ついには早歩きではなく、小走りになった。
「ちょっと待って、早すぎるよ。
まだ雨も降ってないし、もう少しゆっくり歩こうよ。」
彼女の家まであと5分。僕の家まではあと10分くらいだろうか。
徐々に上がっていく彼女の歩くスピードに自然に合わせて歩いていたが、さすがに小走りになっては、少々戸惑いを覚えた。
彼女は立ち止まり、僕の目を見る。
「ダメよ、早く帰らなきゃ。」
その目には、大粒の涙。あふれんばかりの涙。
その時、
空が光った。
「ギャアアアアアーーーー」
雷鳴と同時に、雷鳴のような叫び。
彼女はブルブル震えてその場にしゃがみこみ、耳を塞ぐ。
こらえきれない大粒の涙がアスファルトに落ちる。
いまなら、、
優しい言葉を掛け、
優しく肩を抱き抱えて歩くのが正解だとわかる。
しかし当時、悲しいかな その選択肢はそもそもなかった。
ぼくは立ち尽くし、かける言葉もなく震える彼女を眺めていた。
やがて彼女は立ち上がり、ぼくの目を見て、何も言わずに走っていった。
しばらくすると大粒の雨が降り出し、僕はずぶ濡れになった。
家に帰って、
しばらくは彼女の震える姿と叫び声が頭から離れなかった。
彼女は雨が降り出す前に帰れたのだろうか。
今でも彼女は雷が苦手なのだろうか。
そして、、
彼女は今、幸せに暮らしているのだろうか。
今日の雷が彼女を泣かせていませんようにと願った。
彼女は今、幸せに暮らしているのか。
これが、この文章のほとんどすべて。
この文章の主題である。
(この文章はフィクションです。登場人物や出来事は架空であり、実在しません。)
(官能的要素を加えて官能小説家を目指します!)