ゴルフの練習を終えて 帰ろうとした時に。

「誰か 119番!   119番!」

という叫び声。

ひとりで練習していた爺さんが、倒れている。

2階席の一番奥。

私は2階席の一番手前。

様子を見にいくと、口元が切れて血が出ている。

しかしながら 意識はハッキリ。会話可能。

おそらくふらついて こけたのだろう。

痛そうだけど。

まあ、素人ですが、 きっと大丈夫。

「爺さん 動いたらあかん! 毛布とまくら持ってこい! 救急車はまだか?」

と、声の大きなお客さんの爺さんが従業員に命令する。

『毛布もまくらもいらんやろー 救急車も5分で来るって さっき言ってたやん。 おとなしく待っといたらええやん。』

とは、言えません。

声の大きな人は好きじゃない。

お前が毛布とまくら探してこい!

とは、言えません。

だいたい毛布もまくらも すぐにでてくるわけないやん。

そうこうしているうちに。

電話のとおり、5分で救急車到着。

しかも2台。

1台に3名 計6名の救急隊員がかけつける。

目の前には、意識のはっきりした、くちびるを切ってちょっと血の出ている78歳の爺さん。

目が泳いでいる。

いやいやいや。

ちょっと待てい!

目の前に広がる 背筋の凍る風景。

これ、

無料か??

あまり、悪く言えないけど。

これ、

無料か??

6人やで。

6人。

健康で優秀な人が6人、5分でかけつける。

これ、

無料か??

私が救急車の権利をもっていて、請求する権利を持っていたら。

倒れた爺さんに30万。

「誰か119番!」 と叫んだ声の大きい爺さんに100万請求したい。

現場に ほんの少しの医療知識のある人がいたなら。

おそらく、救急車を呼ぶ必要はなかった。

自衛隊シルバー部隊を創設すべき。

65歳から67歳までの徴兵制。

応じた爺さんは68歳からの年金上乗せ。

若者は志願制。

すいもあまいも経験して。

同窓会のごとく。

後方支援、医療現場の基礎知識を学ぶ。

本当の戦争になったら。

シルバー部隊を迷わず最前線に投入。

かっこいい爺さんになって。

誇りをもってあの世に行けるかも。

知らんけど。