何もかもが うまくいかない。

 

 

つき合う女性によって 運勢がかわるなんて 信じてはいないが、

 

もしかしたら 仕事がうまくまわり始めたのは ジュリエットのおかげだったのかもしれない。

そう思えるような日々が続いている。

 

 

遠い昔、 生まれおちるよりも もっともっと はるか昔から

どこかで交わっていた分子と分子が、

 

時を経て 再び重なり、交じり合う。

 

 

 

ロミ夫はそっと目を閉じ 夜の雨音に耳を澄まし ジュリエットを想う。

雨音は次第に大きく 激しくなっていった。

道路を走る車のライトが 時々 暗い部屋に差し込んでくる。

 

 

暗い部屋のベッドで ジュリエットの動きと息遣いは、 雨音が激しくなるにつれて その音をかき消すように大きくなり やがて 同時に絶頂を迎えるのであった。

 

雨降りの夜に 部屋の明かりを消し目を閉じて ロミ夫はジュリエットとジュリエットとの日々を思い出す。

 

ロミ夫は 若さゆえに 明るい時間、明るい部屋での行為を好んだが、ジュリエットは真夜中、暗い部屋での行為を好んだ。

 

特に 雨降りの夜は 別人のようになるのだった。

 

 

今では ジュリエットが正しかったのだと 分かる。

 

 

分子と分子は また 別々に分かれてしまったが、 また どこかで重なり合う日がくるのかもしれない。

 

気持ちや思いは やがて分子を超越しうるものであるとの ある種の確信をもつにいたるのであった。