「おはようございます。 連絡事項は無しです。」

3秒で終わる打ち合わせ。 23時35分。  8人の侍がとあるJRの駅の1室に集まり、その時を待っている。

夜の仕事の通例で、あいさつは ’おはようございます’     である。

これは、こんにちは と こんばんは  には 丁寧語がないためである。 おはよう  にだけ、

明確な上下関係があらわれる。

私の名は アツ夫。 1週間前から 侍のひとりである。  8人の侍 と書いたが、正確には5人の侍と

3人のくノ一である。  くノ一忍法帳。  なんて艶めかしい響き。  くノ一はどんな拷問にも耐える。

言葉攻めなど 本当は効いていても表情には出さない。 そういうところが好きです。

1週間、毎日小さな声で「おはようございます。 連絡事項は無しです。」 と やっていますが、

他の7名(私含む)は全員携帯をいじくっています。 シーンとした待合室のような場所で、突然 小さな声で

「おはようございます。連絡事項は無しです。」

なかなかシュール。 連絡事項がいつ発生するのか 興味は尽きない。